水彩画家・平田 幸大「人生のプラスになるような感情を、絵に込めたい。」-ARTFULLインタビュー-

躍動感と生命力があふれる動物たちを色鮮やかに描き出す、水彩画家・平田 幸大さん。

今回は、美しく力強い作品を制作する平田さんに、水彩画の魅力、作品に込める想い、今後の展望などについて詳しくお話を伺いました。


平田幸大

平田 幸大

1990年 兵庫県相生市生まれ
2012年 岡山県立大学 デザイン学部デザイン工学科情報デザインコース 卒業
2012年 写真スタジオ勤務
2015年 印刷会社勤務、フリーランスデザイナー兼業
2019年 箱根 生彩画個展「in NATURAL」
2019年 銀座美容室エントランス展示
2020年 表参道 生彩画個展「in NATURAL.vol2」
2021年 世界遺産首里城復興プロジェクト「100人をつなぐ展」 参加

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平井幸大

自分の絵でたくさんの人を幸せに


Q. 画家を志したきっかけを教えてください。

きっかけは27歳のころ、絵で人の喜びをつくることができると確信したことが始まりです。
子どものころから、ものを作り、誰かに喜んでもらうことが好きでした。
初めて絵を誕生日プレゼントにしたとき、「あなたの絵はたくさんの人を幸せにできる」と言われたことが記憶に残っています。
ですが、画家というものはきっと生まれてからずっと絵を描いてきた人、それが可能な環境の人じゃないとなれないと感じており、その時は片隅にも画家になりたいとは思っていませんでした。


平田幸大

転職ののち、自分を見つめる余裕ができ、人生を意識し始めます。
本当に自分がやりたいことは何なのか、悩み考えました。
結果、子どものころ何かを作り人に喜んでもらえること、プレゼントしたときの一言を思い出し、なんとなく絵を始めました。



そして、友人からinstagramを勧められ、投稿を始めました。
これにより、自分の絵はたくさんの人を喜ばせることができることを実感し、画家になることを決意します。
いつしか自分も他者へポジティブな働きかけをしたいと思うようになり、慣れ親しんだ絵を手段に表現活動をしています。


Q. 現在の作風までの歴史、経緯などありましたら教えてください。

歴史が浅いので、分析しきれないのですが、その時に抱えている問題や感情が反映されていることが多いです。

現実のしがらみからの脱出、不安との対峙、喜びや幸せ、安心や優しさなど、自分が感じている人生の喜怒哀楽に、水彩の技術、ファンの皆さんの声、がかけ合わさったものが作風の変遷に思います。


平田幸大

デジタルでは表現できない「 一期一会の滲み 」


Q. 水彩画の一番の魅力、平田さんが惹かれている点はなんでしょうか?

いろいろなペイントソフトが開発されている今でも、プログラムだけでは表現しきれない、一期一会の滲みが魅力です。

湿度や、紙種、筆、絵具の相性、各工程の水分量など、科学と物理的要因に加え、じっくり、激しく、静かに、など、そのときの絵に込められた感情にも影響され、紙面上で予想外の反応を見せることがあります。
その結果が絵として現れ、偶然にも必然にも思える要因と結果に人生を感じます。



人生を豊かにする思いを込めて


Q. モチーフの多くに“生き物”が描かれていますが、どれも美しく躍動感があります。この“生き物” に対する想いをお聞かせいただけますか?またそのきっかけなどあったのでしょうか?

生き物が多いですが、モチーフとしては自然にフォーカスしています。
私が育った環境に自然が多く、遊ぶとき、心休めるとき、悩みのあるとき、決意するとき、どんなときも自然があり、生き物がいました。

それは、勇気や癒し、喜び、驚きなど、豊かな心を与えてくれました。
そういった人生のプラスになるような感情を、絵に込めたいと思い、自然、生き物をモチーフにしています。


平田幸大

Q. 水彩画は柔らかいイメージですが、平田さんの描く水彩画は力強さ、生命力を感じました。作品の制作にあたり意識していること、また大切にしていることはありますか?


平田幸大

人は本能的なものに魅力を感じているのではないかと思います。

大自然のドキュメンタリーや、必死に前に進もうとする青春、戦いの末洗練されてきたものなど、その姿に魅了されます。
その瞬間、当事者は必死に生きようともがいていて、その姿にはたくさんのエネルギーが詰まっています。

見た人の本能に触れ、心躍らせます。
私自身もそういった姿に惹かれ、当事者でもあります。
そのエネルギーを絵に体現することで、見た人の力になるような絵を目指しています。


平田幸大

Q.制作過程のタイムラプス動画などSNSに盛んにUPされていて、日々かなりの作品数を制作されている印象ですが、制作ペースなどについてはいかがでしょうか?


制作風景

制作ペースは週に1作品は必ず制作しています。
平日は別の仕事をしているため、週末に集中して描いています。
動画は、ミラーレスカメラを備え付け、着彩時に録画しています。
その後PCでタイムラプス用に書き出し、BGMをつけて簡単に編集しています。


Q.絵具の実験やサンプリングなどされており、研究熱心で水彩画への探求心をとても感じました。こちらいかがでしょうか?


平田幸大

技術の向上は、表現力の広がり、感動していただける機会や質、につながると考え、日々模索しています。
これまで先人が水彩画に挑戦し、培ってきた文化を引き継ぎ、多くの喜びを作れるようさらに押し上げていきたいと考えています。


Q. 作品のインスピレーションはいつ、どのようなときに浮かびますか?


平田幸大

自然の中で自身の感情を冷静に見つめたときに、その動きが浮かんできます。
動きの一部を切り取り、絵にしています。


Q. ご自身の作家活動において影響を受けた作家、人物など教えてください。

東山魁夷、岡本太郎、あべとしゆき、春崎幹太、Masata.w、Mika Pikazoなど


アトリエについて

Q. 普段制作活動されているアトリエについて教えてください。


平田幸大

アトリエは自宅兼で、8畳の1室に、畳1枚分の作業台を設置しています。
思考の視野を広く保ちたいので、机をスタンディングデスク程度の高さにして、立って絵を描けるようにしています。


Q. 今後、作家として挑戦したいことはありますか?

若い人や絵に興味がない人でも楽しめるよう、音楽やダンスなどに合わせた、ライブペインティングのパフォーマンスに挑戦したり、ネットのライブ配信を活用して、チャットでいろんなキーワードを募集し、即興で絵を描いてみたいです。

自身の生計を安定させたのち、動物保護団体への寄付目的の即売会や、どんな方でも絵を楽しめるよう老人ホームや病院などへ絵の寄贈、展示会などしたいです。


平田幸大

個人が活躍できる時代に


Q. 最後に、アートフルは若手作家に向けてのメディアなのですが、これから作家活動をしていく若手作家に向けて一言お願いいたします。

私自身進み始めたばかりで、言えることが少ないですが、個人が活躍できる時代になり、とくにクリエイターの価値が上がっているこの好機を活かし、誰もがやりたいことをやれる文化をつくれるよう、一緒に挑戦していきたいです。


平田 幸大 今後の展示情報


コロナ禍により具体的な内容は未定ですが、国内外の個展を予定しております。

興味ございましたら、instagram、twitterなどでお知らせしていきますので、ご覧いただけると幸いです。