世界50か国以上旅をして、そこで感じたインスピレーションをもとに絵画制作をする「旅する画家」奥村ユズル。
日中は、障害者の自立支援をするNPO法人で働いており、働きながら作家活動を続ける“兼業画家 ” でもあります。
そんな奥村ユズルさんに、 なぜ兼業画家として活動しているのか、またどのように作家活動と両立しているのか、詳しくお話を伺いました。
奥村ユズル
1961年 岐阜県生まれ
静岡市在住
ヨーロッパやアジア、南北アメリカを中心にこれまで世界50ケ国を旅しました。旅から得たインスピレーションをもとにアクリルや水彩を使って明るい色調で絵を描く。
これまでに、東京、大阪、名古屋、ニューヨーク、香港などで個展を30回以上開催。
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経済的安定は不可欠
Q.画家としての活動歴を教えてください
これまでに、東京、大阪、名古屋、ニューヨーク、香港などで個展を30回以上開催しました。
Q.兼業画家として活動しようと思ったきっかけはありますか？
家族を養うためには経済的安定が不可欠なこと。
画家はある意味、孤独な職業であるゆえ、世俗で様々な人に揉まれる経験も必要と考えたためです。
Q.アートはどうやって学びましたか？
美術の専門教育は受けていません。完全な独学です。
Q.もともと、絵を描いたりものつくりは好きだったのでしょうか？
父親が趣味で日本画を描いていた影響で、幼い頃より落書きが大好きな少年でした。
ピカソのように一生涯挑戦し続けたい
かたちいろ遊び
Q.作品のこだわりはありますか？
自分だけの世界観を表現した独創的な作品を生み出したい、と常々思っています。
わかりやすく言えば、一目見て、「この人の絵だ」と認識してもらえるような絵を描きたい、ということです。
また、ピカソのように、ひとつのスタイルに固執せず、一生涯様々な表現様式に挑戦し続けたい、とも考えています。
Q.決まったモチーフはありますか？
「ヨーロッパの街並み」、「神話、伝説」、「ヘンな人（粘土造形）」、「ネコを中心としたどうぶつ絵」、「旅芸人」、「かたちいろ遊び（抽象画）」など多岐にわたります。
常に自分自身を「消費する側」ではなく「創る側」に置きたい
Q.制作物の公開や個展は行っていますか？
年に2～3回、個展を中心に発表しています。
Q.創作活動を続けて良かったことはありますか？
絵を描くという行為を通して、「創造主」としての自分の価値を再認識できることです。私は、常に自分自身を「消費する側」ではなく「創る側」に置きたい、と考えています。
Q.今後取り組んでいきたい活動はありますか？
昨年より始めた粘土造形にハマっています。いつか造形作品中心の個展を開きたいです。あと、いつもマンションのリビングの一角で描いているので、いつか広いアトリエで大きな作品を描いてみたいです。
Q.本業はどんなことをしていますか？
障害者の自立を支援するNPO組織の管理部門で働いています。
Q.制作に当てる時間は具体的にどれくらいですか？また、制作時間を捻出するために工夫していることはありますか？
一日2～3時間です。
夕食後いったん寝て、家族が寝静まった深夜0時～3時を創作の時間にあてています。静かでとても集中出来ます。
3時～6時まで再び就寝します。睡眠時間が完全に分断されていますが、この生活リズムに身体がすっかり慣れてしまい、今のところ健康上の問題はありません。
Q.兼業画家として苦労していることはありますか？
特にありません。
Q.本業での経験が制作に役立ったことがありましたら教えてください
本業（障害者福祉）で、普段から様々な障害を持った方に接している事から、自分の作品の中に、車椅子やお年寄りの方を描き入れるように心掛けています。私たちの暮らす地域が障害者や高齢者など、いわゆる「社会的弱者」にとって住みやすい場所になってほしい、という願いを込めつつ描いています。
「売れる絵」ではなく「描きたい絵」が描ける
Q.兼業画家だからできることなどあれば教えてください。
本業で生計が成り立っているため、いわゆる「売れる絵」を描く必要性がなく、本当に自分が描きたいものに集中する事が出来ます。
Q.最後に兼業画家として活動している画家に一言お願いします。
本業も画業もどちらも全力投球で行きましょう。
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出典： CREEMA