画家・Fujiyoshi Brother’s「今日も明日も明後日も、常に挑戦し続けていかなければならない」 -ARTFULLインタビュー-

兄弟2人で活動するアートユニット「Fujiyoshi Brother’s (フジヨシブラザーズ)」。
作品のすべてを合作で制作しており、兄弟とはいえ違う2人が、兄弟だからこそ生まれるその一つ一つの作品たち。

今回は、 代表作の「アニマルシリーズ」を始め、様々な分野で現在も進化し続けるお二人の活動について詳しくお話を伺いました。


Fujiyoshi Brother’s

Fujiyoshi Brother’s

Fujiyoshi Brother’s(フジヨシブラザーズ)は、兄の藤芳太一郎(1978年熊本生まれ)と弟の藤芳幸太郎(1979年熊本生まれ)により、2000年に結成されたアートユニット。

現在、神奈川を拠点に活動。熊本の自然の息吹と生物の多様性に触れながら育った兄弟は、独学で絵画を学ぶ。

2004年に前編、2005年に後編と2回にわたり開催した個展「PANOLAMA ISLAND 全長100Mの巨大絵画展」(PLOMO-ARTE Project Gallery 東京)以降、全ての作品を合作で制作している。
アクリル絵具にグリッターや蛍光色などを多用した豊かな色彩と独特な世界観で表現される開放的な画風で「アニマルシリーズ」を確立させる。

近年、表現の幅は多岐にわたり2019年には「Fujiyoshi Brother’s EXHIBITION“Accumulate Painting”」(QUIET NOISE arts and break 東京)で、時間という概念を視覚化した作品を発表し、絵画空間の可能性を追求している。

又、ライブペインティング、壁画、インスタレーション、ワークショップ、舞台美術、プロダクトなど様々な分野で活動。

出版物は『Fujiyoshi Brother’s COLORING BOOK 動物たちの楽園』(玄光社2015年)、画集『202020』(私版2020年)、News Letter『Fujiyoshi Brother’s NEWS』(私版2019年〜)

BIOGRAPHY
http://fujiyoshi-brothers.com/about/


【公式HP】 【Instagram】



描いていくうちに美術の世界にのめり込んでいった


Q.  画家を志したきっかけを教えてください。

父親が左官業を営む職人だったので、小さい頃から何かしら作る仕事をしたいと思っていました。ものづくりは想像し具現化すること。10代後半の頃に、すぐに具現化できるものはなんだろうと考えたときに絵を描くことでした。
描いていくうちに美術の世界にのめり込んでいった感じです。



Q. 現在の作風までの歴史、経緯などありましたら教えてください。

アクリル絵具にグリッターや蛍光色などを多用した豊かな色彩と独特な世界観で表現される開放的な画風の「アニマルシリーズ」がフジヨシブラザーズの代表作になりますが、近年、表現の幅は多岐にわたり2019年に開催した「Fujiyoshi Brother’s EXHIBITION“Accumulate Painting”」(QUIET NOISE arts and break 東京)で、時間という概念を視覚化した作品を発表し、絵画空間の可能性を追求しています。



予定調和を自分達で崩して再構築する、それが面白い


Q.ご兄弟で活動されているとのことですが、2人で一つの作品を作成しているのでしょうか。

はい。全ての作品を合作で制作しています。


Q. 作品を作る際、「どのような絵を描くのか」「どちらがどこを描くのか」など、どのように決めているのですか?

役割分担や決まった手順などはなく、全体の仕上がりを打ち合わせした後、描き始めたり、打ち合わせもなくどちらかが制作し始めた作品に途中から加筆していく事もあります。制作途中でイメージの共有はしますが、作品によって制作スタイルが変わっていきます。



Q. やはり1人では出来ない、2人だからこそ出来上がる作品だというのはどのような部分で感じますか?

2人で完成イメージを共有しても、細かなところが微妙に異なってたり、制作のアプローチも違ってきたりします。
そうするとそれぞれ個人の頭の中で想像していなかった色彩やラインが画面に突如表れてきたりして、完成イメージが新しく変化していきます。
それが面白いのです。

予定調和を自分達で崩して再構築する。全ての作品を制作中に新しく更新していけるのが私たちの強みだと思います。


2人とも納得した作品でなければ、世の中には出さない


Q. 今までで2人で活動する中で、意見の食い違いや衝突など起きたりもありますか?

当然あります。
今年で結成20年になるのですが、合作というスタイルをやり始めて5年ほどは毎日のように衝突していて、相手が描いて気に入らないところがあると、いない間に真っ白に塗り潰したりもしてました。

結成当初に一つだけ決めた事があって、「2人とも納得した作品でなければ、世の中には出さないこと」。
このルールのおかげで2人の視点で観ても妥協することなく作品を完成させる事が出来ています。



Q. 作品のインスピレーションはいつ、どのようなときに浮かびますか?

インスピレーションがこんな時に浮かぶっていう決まったパターンみたいなものは無いです。思い浮かぶ瞬間を覚えてないだけかもしれませんが、常に頭の中には次に創りたい作品のイメージが10〜20個ほど2人にはあって、アトリエには同時進行で複数点の作品を制作しています。


挑戦しなくなった作家に魅力はない


Q. 普段制作活動されているアトリエについて教えてください。


神奈川県横浜市にある今のアトリエは5年目になり、それぞれの自宅から徒歩圏内にあります。

制作に必要のないものはほとんど置いてなく、クライアントと打ち合わせをしたり、お客様も作品購入のためのプライベートビューイングでお越しいただくので、普段から整理整頓してます。



Q. 2人で行われるライブペインティングの見どころはどこでしょうか?

ライブペイントは30分くらいで完成させる1~2mの作品から、数十mの大きさに数日間かけて描いていくものまでありますので、見どころはそれぞれ変わってきますが、2人で次々と描き重ねながら完成させる様は、他ではなかなか観ることができないスタイルなので面白いと思います。



Q. 今後、作家として挑戦したいことはありますか?

インタビューを受けると時々この質問をいただくのですが、正直なところ返答に困ってしまいます。。作家として食べていくには、今日も明日も明後日も常に挑戦し続けていかなければならないし、挑戦しなくなった作家に魅力はありません。又、頭の中で想い描いている今後やりたいことなどは、企業秘密みたいなものですのでお応えすることが難しいです。。すみません。



Q. 最後に、アートフルを見ている作家達に向けて一言お願いいたします。

これからの時代、ART/アートの需要がもっと広がっていくだろうと思っています。作家もバイタリティーがあれば企画、制作、販売、コレクターやファンの獲得などの全てをたった一人で行うことが可能です。ワクワクしてきませんか?私たちも基本的には自分たちで全てを行います。大変なこともありますが毎日楽しいですよ。お互い頑張りましょう!