兼業画家 eico wada「自分のペースで制作できる自由さが気に入っています」-ARTFULLインタビュー-

今回は、「デリシャス・アーティスト」として絵画制作をしているeico wadaさんに兼業作家ならではの活動スタイルや制作の進め方など「兼業作家としての活動」に焦点を当ててインタビューさせていただきました。

eico wada

自らを「デリシャス・アーティスト」として名乗る。

浮世絵を独自の視点で捉え、風刺やエロスをスパイスに現代風にアレンジした作品を展開。
花や女性をモチーフとし、アクリルガッシュを使用した鮮やかな色彩の作品が特徴。

アーティスト活動は1996年から開始、2002年に銀座で初個展、2004年にはニューヨークで個展。
国内・海外問わず多数の企画展、グループ展に参加している。
特に近年では「花札」をモチーフとしたシリーズ作品を展開。
「花札」をデザインとして捉え、社会風刺や女性心理、エロスをテーマとしたストーリー性のある作品に仕上げている。

花札シリーズの1作品は、天星酒造の焼酎「花魁」のラベルにも起用されいる。

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アーティストと会社員の両立

20周年記念個展

Q.画家としての活動歴を教えてください

子どもの頃からずっと絵を描いていたので、どこがスタート地点なのか難しいですが、 初めて銀座のギャラリーで作品が展示された時(1996年)を、1年目としてカウントしています。

当初は画家としての意識はなく、「好きだから描いている」程度でした。
2003年にニューヨークへ留学した際、現地で様々な人に作品を見てもらったり、イベント展示や個展を行う中で アーティストとしての意識が芽生え、「アーティストとして生きていこう」と強く思いました。

それ以降は、2~3年おきに個展と、毎年グループ展や企画展に参加しながら活動を続けています。
2016年に、アーティスト活動20周年を記念し、新作から過去作品のアーカイブ個展を実施しました。

Q.兼業画家として活動しようと思ったきっかけはありますか?

イラストレーターと兼業していた時期もありましたが、画家として生計を立てるのは難しいので 最初から会社員との兼業画家として活動しています。

Q.本業はどんなことをしていますか?

WEB広告のクリエイティブディレクターをしています。

Q.アートはどうやって学びましたか?

10代の頃、通信教育の「講談社フェーマススクールズ」で学んだこともありましたが、ほぼ独学です。

展示風景

Q.もともと、絵を描いたりものつくりは好きだったのでしょうか?

外で遊ぶよりは、家で絵を描いたり物語を作ることが好きな子どもでした。

Q.作品のこだわりはありますか?

活動歴が長いので、その時期によって作風やモチーフは変わっているのですが
共通している点は、色の鮮やかさ・曲線の美しさ・構図にはこだわっています。

Q.決まったモチーフはありますか?

花や女性をモチーフにすることが多いです。

Q.制作物の公開や個展は行っていますか?

アートコンプレックスセンターの取り扱い作家なので、そこを拠点に活動しています。
年に2~3回のグループ展や企画展、個展は2~3年おきに行っており、次回の個展は2021年10月に開催予定です。

アートを身近に感じる活動に注力

天星酒造 焼酎「花魁」ラベル

Q.創作活動を続けて良かったことはありますか?

今までギャラリーに足を運んだことのない友達が、私の展示を見に来てくれたり、 初めて作品を購入してくれたりすることがアーティスト活動をしていて良かったと思う点です。
家に飾られたアートを見て、癒される、元気が出るなど、ご購入後のお話を聞く時は本当に嬉しいです。

ニューヨークでの初個展の際、アメリカ人男性が「新居祝いと奥様の誕生祝いに」と作品をご購入頂きました。
ご購入から2年後、ふいにメールが来て 「今でも作品はリビングに飾ってあり、今でも作品は素晴らしいよ。」
という短いメールでしたが、とても感動して今でも記憶に残っています。

Q.今後取り組んでいきたい活動はありますか?

アートをもっと身近な存在にしたく、インテリア雑貨を買うような気軽さで1点モノのアートを買う文化を作りたいです。

その為に、ギャラリーではなく飲食店で展示をしたり、購入しやすい小さいサイズの作品展開も積極的に行っています。

展示風景

Q.制作に当てる時間は具体的にどれくらいですか?

平日は夜1~2時間、休日は4~6時間程度です。

Q.兼業画家として苦労していることはありますか?

やはり、制作時間が圧倒的に少ないという点ですね。
仕事が忙しいと日中にエネルギーを使い過ぎて、夜に時間があっても絵を描くエネルギーが残っていないとか。
でも、無理しても続かないので、マイペースで制作しています。

Q.制作にあてる時間を捻出するために工夫していることはありますか?

事前にスケジュールを組むことですね。
展示の搬入日から逆算して、制作点数やサイズを決め、進行と制作時間をざっくり組んでおきます。
空いているタイミングで、友達と飲みに行ったりしますが、スケジュールが組まれているので安心して息抜きできます(笑)

やりたいことができる兼業画家という選択

制作デスク

Q.兼業画家だからできることなどあれば教えてください

会社員と兼業をしている最大のメリットは、生活の安定感です。
個展って、自費だと海外旅行に行けるくらいの費用感なので。
個展以外にも、旅行に行ったり、洋服を買ったり、美味しいものを食べたり。
やりたいことは全部やるのがモットーなので。
兼業だから実現できる経済力は大きいです。

Q.本業での経験が制作に役立ったことがありましたら教えてください

社会性かと思います。
クライアント対応もあるので、社会人としてのマナーやビジネススキルなどは、コレクターさんや企業とのやり取りで役に立ちます。

Q.兼業画家として活動している画家に一言お願いします

兼業を続けていると、両立することが難しいタイミングもあるかと思います。
「こうであるべき」などの理想も大切ですが、難しい時は休むことも同じように大切です。
無理なくマイペースで活動することが、継続につながると私は思っています。