絵画の贋作は無価値であるのか?贋作の評価とは

美術品で問題なのが贋作


美術品や工芸品などを手に入れる際に、悩むのが贋作についてです。古くから、美術品や工芸品は贋作が作られており、現代になっても贋作は存在しています。贋作が製作される理由は、金銭目的や名誉目的、愉快犯など様々な理由が考えられます。

美術品の贋作関係で知っておきたいのが、「絵画の贋作は無価値なのか?」です。完全に無価値になってしまうのか、それとも多少は価値があるのか気になる方も多いことでしょう。そこで絵画の贋作におけるエピソードと贋作の価値について紹介していきます。

絵画の贋作と言えばメーヘレン


絵画の贋作で有名なのが、20世紀画家であるハン・ファン・メーヘレンによるフェルメールの贋作です。フェルメールは、日本でも高い人気を誇る17世紀のオランダを代表する画家です。寡作の画家であり、しかも43歳ほどで亡くなっており現存する作品はわずか35点ほど(研究者によってズレがある)とされています。

メーヘレンは、フェルメールと同じオランダ出身の画家ですが、自身の素行の悪さもあって評価されていませんでした。そして、オランダ美術界への復讐という動機から、贋作ビジネスに手を染めるようになります。そこで目を付けたのが、フェルメールだったのです。

メーヘレンによる贋作は、当時の研究者からも「本物」と認められており、巨額の富を築いています。しかし、ナチス・ドイツの高官にフェルメール作品を売ったとして逮捕・起訴されます。メーヘレンは自らの贋作だと主張するも当初は信じてもらえず、法定でフェルメール風の絵を描き、当時の最新の鑑定の結果「贋作」だと証明されたのです。

贋作の中には完成度の高いものもある!


絵画の贋作の中には、とても完成度の高い贋作も存在しています。先ほど紹介したメーヘレンによるフェルメールの贋作が良い例です。もちろん、完成度が高い場合でも、「真作」として販売すれば詐欺であり犯罪行為となります。

しかし、贋作としてなら売買するのは問題ありません。そして、美術品のコレクターの中には、贋作であっても完成度の高い作品を気に入って購入する方もいます。そのため、必ずしても「贋作=無価値」とはなりません。贋作であったとしても、評価されることもあるのです。

実は額縁に価値があるケースも!


絵画の場合は、贋作であっても額縁に価値があるケースもあります。完成度の低い贋作で美術的価値がまったくなかったとしても、額縁が高く評価されることもあるのです。年代や使用されている素材などによって高値になることもあります。

高く評価されるのは、古い年代の額縁です。そのため、古い年代の作品の贋作で、当時の額縁を使用されていれば高値になる可能性があります。また、素材に金や高級な木材などが使用されている場合も、高く評価されやすいです。

絵画だけでなく、骨董品や掛け軸などの贋作でも同じことが言えます。使用されている紙や生地、軸棒などの素材によっては高額になることがあるのです。贋作だから、価値がゼロとは限らないので注意してください。

贋作によっては高値になることもある!


完成度の高い贋作なら、それだけで評価されることもあります。贋作を真作と偽るのはNGですが、「贋作」と銘打っていれば売買しても違法ではありません。一部の美術コレクターが高く評価してくれるケースもあるのです。

また、美術的な価値がゼロだったとしても、額縁や素材などによって価値が認められることもあります。そのため、所有している美術品が贋作だったとしても、ショックを受けるのはまだ早いです。もしかしたら、額縁や素材次第では高額で取引されるかもしれません。

美術品は贋作問題を切り離すことはできません。贋作のリスクなども考慮しながら、美術品は扱うのがおすすめです。