これから伸びる!日本のアート市場のポテンシャル

日本のアート市場は年々と確実に広がりを見せており、「日本のアート産業に関する市場調査2018」によると、美術品市場は2460億円、美術関連市場は470億円、美術関連サービス市場は504億円となり、2018年度のアート産業全体で3434億円まで到達しました。

また作品の販売チャネルの内訳として、国内ギャラリーが735億円、百貨店が644億円、アートフェアが253億円、EC市場が180億円となり、各分野ともに3年連続増加しています。
とはいえ世界の「アートマーケット」は約7兆6000億円あると言われており、日本のマーケットはまだまだ小さいのが現状です。

ちなみにこの「アートマーケット」は現代アートのみでこの規模であり、日本の現代アート市場は僅か300億円、世界シェアの0.4%に過ぎないのです。日本のGDPは世界シェアの5.5%なので、アートにおける日本の市場がいかに小さいかがわかるはずです。

世界で一番大きな現代アート市場の米国は3兆円のマーケットが存在し、アートへの投資額も米国人1人あたり年間1万円、日本人1人あたり年間240円と圧倒的な開きがあります。

では日本人がアートに興味がないのか?というと決してそんなことはありません。
例えば2018年10月から約4ヶ月間、上野の森美術館で開催された「フェルメール展」の入場者数は68万人以上という大盛況でした。つまり潜在的なアートファンは一定数存在しており、今後はアートを鑑賞するだけでなく購入まで繋げられるのかがポイントとなってきます。日本経済の規模を考えると、今後の日本のアート市場のポテンシャルはとても高いのです。

どうすればアートコレクターが増えるのでしょうか。そのカギとなるのが富裕層だけでなく、国際経験がある優秀なビジネスパーソンでしょう。
事実「国際経験豊かなビジネスパーソンのアートに係る状況」という、1都3県在住で過去1年間に2回以上美術館に訪問したことがある人を対象にアンケート会社がモニター調査した結果、実に50%以上の方が何らかのアート作品の購入経験があり、購入経験がない人の3割が購入に前向きという結果が出ました。

この優秀なビジネスパーソンはデジタルネイティブでもあり、ネットやSNSなどで独自に情報収集することにも長けています。この層には芸術への読解力がビジネスにも役立つと認識されており、自ら感性を育む努力を惜しみません。
アート作品を購入することで育まれる生活や交流、そして文化的な投資という側面からもアート作品を購入することのメリットをどのように認知させていくのかが、今後の日本のアートマーケットの課題です。

とはいえ、ポジティブに捉えれば日本のアートマーケットは今後も着実に成長していく分野であり、そのポテンシャルがとても魅力であることは変わりません。