アートと資本主義~天井知らずのマーケット~

  • 2020年8月21日
  • 2020年8月28日
  • コラム

はじめに

 アートが好きであってもアートの価値や価格がどのように決まっているのか、答えられる方は案外、少ないのではないでしょうか。実際、アートには価格を決定する基準や相場のようなものが明確にはなく、ましてや法律で定められている訳でもありません。その時々のトレンドや景気動向、マーケットの流れに左右されることが殆どなのです。

こうした不確定要素を含めた特徴があるのがアートマーケットの面白さであり、また経済のパワーバランスをアートの動向からも如実に感じることができます。今回は「アートと資本主義」と題して、アートマーケットがどのように上昇していくのかを説明していきます。

アート価格は様々な要素が絡み合って成立している

  まずアートの価格は作品を生み出すアーティストの存在とそれを発表する場所なくして成立しません。なぜなら、どんなに優れたアート作品を創ったとしても、その存在を誰も知らなければ、作品はこの世に無いのと同じ意味だからです。アーティストとギャラリストの成り立ちは必然性によって生まれたのです。

この他にもアートの世界には美術館のキュレーター、アートディーラー、アートコレクター、美術評論家、編集者、アートライターなど、様々なアートに携わる専門家が存在し、そういった人物に作品が極めて重要であると認識させることが必要です。数多いる表現者の中でも一握りの存在が、メディアなどに華々しく登場し、世界の現代アートのトップレースに参加する資格を持つのです。極めて狭き門ではありますが、そこで選ばれたアーティストは、アートの歴史にも名を刻む存在として、作品価格が青天井となるケースも珍しくないのです。

価格操作に注意

 アートの価格上昇には2つの性質があります。本来は作品の需要の高まりとともに自然な流れで価格が上昇するのが望ましいのですが、なかには意図的に価格操作されるものも存在します。

例えばオークションで意図的に予想価格よりも高値で購入して、アーティストの作品の高騰を狙う場合もあるのです。豊富な資金力があればそういったことも可能である為、特にオークションで競る場合には、購入希望の作品とアーティストの現在の市場価値が適切であるのか、リサーチする必要があります。その判断を専門とする独立系アートアドバイザーも欧米には存在します。思わず高値で飛びついて、その後アーティストが目立った活躍をすることなく作品が下落しまうというケースも発生するからです。

アート価格と市場原理

 ではアートマーケットがなぜ天井知らずなのか?というと、その理由はアートの世界も資本主義の原理で動いているからです。資本主義社会では、世界各国の経済構造によって「資本」が流動的に力を持つ市場へと動いていきます。例えば今から200年前の経済の中心地はロンドンでしたが、第二次世界大戦をきっかけに経済の中心地は米国へと移っていきました。それと同時にアートの分野ではルネサンス以降パリが芸術の都として世界を席巻してきましたが、1950年代になると中心地はニューヨークへと移行しました。これにも市場原理の力が働いているのです。

まとめ アート市場は今後も拡大する

 経済成長と人口増加には密接な関係があります。現在の世界人口は77億人を突破し、今世紀末には100億人に到達すると予想されています。つまり、世界経済は今後も成長を続けるのは間違いなく、それはアートマーケットが拡大していくことを意味しているのです。

現在のアート価格歴代1位はレオナルド・ダ・ヴィンチの作品「サルバトール・ムンディ」の約508億円ですが、近い将来、この価格を塗り替える作品が登場することは時間の問題でしょう。なぜならアートと資本主義は切っても切れない関係にあるからです。

以上、「アートと資本主義~天井知らずのマーケット~」でした。