20倍以上に値上がりしたKAWSの作品事例紹介

KAWS(1974~)は米国出身のストリート・アーティストとして、現在、最も注目される存在です。ユニクロとTシャツでタイアップしたことで中国で大行列が出来たというニュースでKAWSを知った日本人の方も多くいることでしょう。

作品の特徴は目がX(バッテン)のキャラクターで有名な「コンパニオン」シリーズなどが代表作です。具象的なモチーフを繰り返し表現しており、商業的にも転用しやすく多くの企業とコラボレーションしていることも特徴です。
初期の作品はグラフィティなど平面作品が中心でしたが立体作品へと移行したことで、KAWSの才能が爆発的な広がりを見せたのです。フィギュアをアートとして発表する「アート・トイ」という分野の先駆者として大成功を収め、ストリートカルチャーと現代アートの橋渡しとなった最重要人物の一人なのです。

またファッション業界とのコラボレーションも多く、ナイキやカルバン・クラインなどの世界的ブランドとの共同制作によって、世界中に名前を知られる世界的なアーティストへと駆け上がったのです。

KAWSは2000年代から頭角を現しカルチャー界隈で有名になった後、2010年代からは特に現代アートの世界でも注目を集めます。転機となったのは2017年にイギリスのオークションハウスのフィリップスで、ブロンズ製の「コンパニオン」が41万1000ドルまで高騰したことがキッカケです。
その後もKAWS作品は右肩上がりで上昇していき、2018年には100万ドル以上で売れた作品が5作品という売上も記録しています。

例えば同年にロンドンのサザビーズで出品された「AGAIN AND AGAIN」は事前予想が25万ポンド前後であったものの、最終的には103万ポンドという値段が付きました。そして2019年4月の香港サザビーズでは1480万ドルで落札され、世界のアートシーンの話題をさらったことは記憶に新しい出来事です。

このようにKAWS作品は初期作品から考えると最低でも20倍以上の値段で落札されています。当然、世界中のコレクターが作品を狙っており、投資という側面から大人気なのです。 

 こうして時系列でKAWSの作品を見ていくと、ユニクロとコラボしたTシャツが瞬く間に売り切れたことにも理由があることがわかるはずです。またKAWS作品にはNYの現代アートのエッセンスが詰まっていることも魅力ではないでしょうか。
日本でも人気のバスキアやキース・ヘリングのようなグラフィティとストリートカルチャーの要素と、ウォーホルやクーンズのようなポップ・アートの要素が混じり合い、現代アートを前進させたと言っても過言ではありません。

またSNSを巧みに活用したアーティストとしての側面も注目でしょう。実際♯kawsは90万件以上もあり、これは他のアーティストと比べても群を抜いて多いのです。所属するペロタンギャラリーは東京・六本木のピラミデビルにも支店があるので、運が良ければ東京でも個展が開催される可能性があります。

KAWSは同時代を生きるアーティストでありながら、既に歴史上に名前が残る人物です。今後もどのような新作が発表されるのか、その動向から目が離せません。