「アート投資法~プライマリーマーケットとセカンダリーマーケットとアートファンド~」

<はじめに>

 アートを資産運用の投資対象と考えたときに、アートがどのようなマーケットで形成されているのか、アート投資の種類やメリットについて、今回は解説していきます。

<3つのアート投資法とは>

  アートは大別するとプライマリー(一次市場)、セカンダリー(二次市場)、アートファンド、この3つに大別することができます。それぞれアートの世界でも違う特徴があり、それを把握するとアートワールドがとても理解しやすくなります。

<プライマリー&セカンダリーの関係>

 プライマリーとはアーティストの最新作が発表されるプライマリーギャラリー、アートフェア、百貨店などがこれに該当します。セカンダリーとはプライマリーで購入された作品を売買する市場です。セカンダリーといえば「オークション」を指していると言って間違いないでしょう。また所有している作品を転売する場合、サザビーズやクリスティーズなどに代表されるオークション会社を通じて出品します。オークションには作品の価値によっては世界中のアートコレクターが集まります。なぜならアート作品の大きな特徴として「中古品」という考え方がなく、その理由は大量生産できない「1点モノ」が前提の仕組みだからです。

価格というものは「需要と供給」の関係で決まりますが、アーティストの人気が高まることで作品を求める「需要」が大きくなっても「供給」は変わらないため、それが希少価値へと繋がっているのです。アーティストによってはオークションによって価格が上がることで作家としての市場価値も上昇します。例えば、セカンダリーで価格が上昇したアーティストが次回作をプライマリーで発表する場合、例外なく前回よりも価格が上昇します。このようにプライマリーとセカンダリーは互いにアーティストの市場価値を高める役割を担っているのです。特に大きなオークションハウスになると世界的な資産家を顧客として抱えており、作品が高騰することも珍しくありません。

そのため、現存する人気アーティストの作品はプライマリーで購入したほうが遥かに安いという現象が起きるので、コレクターは順番待ちしてでも作品を購入したいと思っていますが、プライマリーで購入するためには強いコネクションや購入実績がなければ作品を購入するチャンスすらありません。なぜならアート作品は作品の素晴らしさに加えて「誰が所有したのか」も重要な要素となっているからです。

ギャラリーとしてもアーティストの希少価値を高めるために、購入希望者を限定的に絞ることがよくあるのも、こういった理由からです。もし今後、アートで「資産」を築いていこうとするならば、プライマリーギャラリーのギャラリストとの交流を深めていく方法とオークションで作品を購入するのが一般的でしょう。

<好きなアーティストや作品を知る必要がある>

 作品を購入するためには、どんなアーティストが存在しているかを知ることと、作品価格の相場を把握し、現代アートのトレンドや歴史について把握しておかなければなりません。つまり、大前提としてアートが「好き」である、または「興味がある」ことが大切です。そうでなければ資金があっても自分の好きな作品に出会えないので、継続的にアートを購入しようとは思わないからです。とはいえ作品を「所有する」以外にもアートには投資方法があります。それが「アートファンド」と呼ばれる投資方法です。

<アートファンドという投資法がある>

 アートファンドのメリットとして、作品を保有する必要がなく、基本的に1つの作品に対して出資者を募り共同で保有する形をとります。また作品選びも事前にプロのアートアドバイザーによって選ばれているので、アート市場における投機性のリスクもある程度抑えることが可能です。純粋に「投資」としても楽しむことができると同時に、アートファンでも個人の資金では手が出ない高額作品を「所有する」体験を得ることができます。近年、日本にもこうしたアートファンドが増えており、アートファンの裾野を増やす担い手としても注目を浴びています。

<まとめ>

 以上のようにアート投資法には大きく3つの方法があります。アート作品は株式と違って資産価値がゼロになることがなく、アート作品を投資手段の一つとして持つことで、資産運用する上でもリスクヘッジすることが可能です。また作品を所有する喜びは、他では得られない文化的欲求や満足感を得られる機会を得られることもアート投資の大きなメリットなのです。