26倍に値上がりした草間彌生の作品事例紹介

今では日本を代表するアーティストの草間彌生(1929〜)も長らく不遇の時代がありました。
1950年代にNYへ渡った草間は絵画だけでなく様々なアートパフォーマンスを通じて「ハプニングの女王」と呼ばれ、アート界からも注目される存在でした。しかし70年代に入りパートナーで親友のアーティスト、ジョゼフ・コーネルが死去したことをきっかけに体調を崩し、日本への帰国を余儀なくされます。
療養中も小説「マンハッタン自殺未遂常習犯」を発表するなど活動をしていましたが、以前のように活発になるのは1989年にNYで発表した『Infinity Mirrors」がきっかけです。

その後1993年に開催されたアートの祭典ヴェネチア・ビエンナーレに日本代表として参加し、アーティスト草間彌生の世界的な再評価熱が確かなものとなったのです。その頃に生まれたのが草間の代表作と呼べる、かぼちゃと水玉をモチーフにしたシリーズです。

かぼちゃは草間にとっての変身願望の象徴と言われており、草間作品の代名詞となっています。実際、草間彌生の作品『Pumpkin(1998)』の価格推移を調べてみると、2009年にオークションで5,800ドルで落札された作品が、2019年には156,000ドルでオークションで落札されたのです。 10年間で価格が26倍も値上がりしており、平均年間収益は+39%という破格のパフォーマンスを打ち立てています。これは投資という側面から見てもとても魅力的でしょう。

事実、草間作品の世界的コレクターとして有名なフィリピンのカマチョ夫妻は、草間作品を100点以上、戦略的に保有することが功を奏した大成功例でしょう。カマチョ夫妻が集めた作品の価値は、購入時から20倍〜30倍もの値段になっています。
つまりアートへの投資も成功すれば、株式や債券、不動産投資以上の投資価値があるといっても過言ではないのです。

2000年以降、現代アート市場は年平均約9%上昇を続けています。
草間彌生のようなケースは稀であるものの、アート作品への投資は他の分野では考えられないほどの期待値がある世界であることも事実なのです。多くの投資家にとって無視できない対象になるほど、現代アート市場が広がり、成熟してきた証とも言えるでしょう。

とはいえ資産流動性が乏しいという特徴もアート作品にはあるので、上手に収集するためには、いかに多くのアート作品に目を触れて、自身の好きなアーティストや作品の傾向を把握できるかもポイントでしょう。確固たる基準があれば、目まぐるしく流行が変化するアートの世界で迷うことが少なくなるはずです。
好きな作品を購入することで所有する喜びと同時に、アーティストを直接応援することへも繋がり、投資家の資産価値が向上する。そういった喜びや魅力的な可能性がアート投資には秘められているのです。
将来、草間彌生のような世界的アーティストになる金の卵がきっとアート市場にも眠っているはずです。