リチャード・ハミルトン、ロイ・リキテンスタイン、ロバート・ラウシェンバーグ、ジャン・デュビュッフェ -現代アートに影響を及ぼした海外作家-

現代アートはたくさんの作品があり、どの作家の作品に注目すれば良いのか分からなくなる人も多いのではないでしょうか?
今回は、現代アート作家の中でも海外の注目すべき作家を紹介します。

イギリスでポップ・アートの創始者となった


リチャード・ハミルトンの作品は、コラージュを通じてイギリス社会を表現しています
1956年に作成された「一体何が今日の家庭をこれほどに変え、魅力あるものにしているのか」では、雑誌の切り抜きを用いてイギリスの社会を表現しました。
1950年代のイギリスは、第二次世界大戦終了後の影響を受けた大量消費社会となっていました。戦後の復興を進めるために物を作り消費していく社会の中で、リチャードは人々の生活の変化に密着した作品を制作しています。

リチャードの作品には、有名人や芸術家のモチーフが多く採用されています
1965年の作品「我がマリリン」では、女優マリリン・モンローのコラージュを採用しました。1968年にはビートルズのアルバムジャケットデザインを手がけるなど、芸術以外の分野にも参加しています。

リチャードは2011年9月13日に亡くなりましたが、彼の活躍によって多くのポップアーティストが誕生しました。現代のポップ・アートの基礎を作り出したリチャードの作品は、多くの美術商が高額買取を行っています。

漫画のような表現を多用したロイ・リキテンスタイン


ロイ・リキテンスタインの作品は、見た人の印象に残る独特の表現が用いられています。
作品に用いられるモチーフは輪郭が太く、平面的に描かれている点が特徴であり、漫画が1枚の絵になって表れているような印象を与えます。
ロイが漫画のような表現を用いるようになったきっかけは、自身の子供にミッキーマウスの漫画を描いて与えたことでした。この時ロイは、漫画の表現が持つインパクトの強さに気づきます。

1965年に作成した「ヘアリボンの少女」では、画面いっぱいに女性の顔を描いた絵を作成しました。同作品は、1995年に東京現代美術館が6億円で購入しています。他の作品も漫画を元にしたパロディを前面に出して作成されており、分かりやすく楽しめるアートを貫いた作風が見られます。

ロイは1997年に死去しますが、作品の人気は今も高まり続けています。美術商の需要も高く、高額買取が行われています。

日用品を作品に取り込んだロバート・ラウシバーグ


ロバート・ラウシェンバーグの作品は、日用品をキャンバスに張り付けて絵として仕上げる手法を取り入れています。
1955年に作成された「ベッド」では、パッチワークの掛布団に枕を張り付けてベッドそのものを表現しています。「ベッド」を含めた1950年代後半に作成された作品は、ロバート自身が「コンバイン」という名前を与えました。コンバインでは、日常生活にあふれるものや人をモチーフにした作品を制作し、新たな現代アートの表現者として注目されるようになります。

1960年代からはシルクスクリーンを用いてアートを作成し、自分が撮影した写真や新聞・雑誌からの切り抜きを転写する手法を用いるようになりました。1964年に作成された「追跡者」では、複数の映像を1つの画面に集めて絵として完成させています。ロバートの作品では、過去に作成した絵に使用された画像が別の作品に使用されることも多く、同時代に活躍した現代アート作家たちにも大きな影響を与えました。

ロバートは2008年に死去し、多くの作品が市場に流通します。価格は30~50万円程度が一般的ですが、もっと高い価格で販売されている作品も多くあります。ロバートの作品の購入を考えるならば、美術商や画廊を広く探してみましょう。

従来の芸術を否定して新たな芸術を生み出したジャン・デュビュッフェ


ジャン・デュビュッフェは従来の西洋美術に用いられていた様式を否定し、子供や精神障害を持つ人といった芸術に関わる機会が少ない人のアートに注目しました。

デュビュッフェによってアール・ブリュット(生の芸術)と名付けられた芸術は、1976年にスイスのローザンヌにある美術館にて「アール・ブリュット・コレクション」として、多くの人に鑑賞されるようになります。
デュビュッフェは精神障害を持つ人や精神科医との交流を深く持ち、精神障害がアートに及ぼす影響を研究してきました。1948年には「生の芸術協会」を発足し、従来の西洋美術にとらわれない作品を生み出す支援活動を行います。生の芸術協会は1951年に解散しますが、デュビュッフェ自身が生の芸術を支援する姿勢は変わりませんでした。

デュビュッフェは1985年に亡くなり、彼の作品は市場に流通するようになっています。
価格は手ごろなものも多く、10万円前後で購入できる作品もあります。