評価もされるレプリカやコピーのアート作品としての価値

鑑定のための基礎用語がある


人気テレビ番組「なんでも鑑定団」などを見ていると、美術品の価値を大きく左右するキーワードが頻繁に出てきます。これから美術品の価値を見極めて投資などしようとするのであれば、そんなキーワードの意味するところはわかっておきたいものです。
ここではレプリカとコピーの似て非なるワードについて触れてみます。

レプリカとコピーの違い


レプリカもコピーも本物ではありませんが、どう違うのかをきちんと説明できないのではないでしょうか。
一般的に使われる定義であればどちらも偽物ですので、そんなものかと思っていると、アートの世界では評価額が大きく違ってくることもあるのです。

・レプリカ
作者が本物と同じように作成した作品、あるいは作者の弟子が作者の監修のもとに本物のように作成した作品がレプリカと定義されています。これは需要に応じて再作成することが多いものでしょう。もちろん人間はマシーンではありませんので、全く同じようにはできません。さらにあえて若干の修正を加えたりする場合もありますが、レプリカはそれらを含めているものです。ですからレプリカであった物が、実は完成品となる場合も有り得る訳です。そうしているうちにどれが本物とも言えなくなってしまうことにもなるものです。

しかし最初に出来た作品が、最も優れた作品と評されることが通常のようです。やはり第一作は何も無いところから湧き上る発想がストレートに表現されることになるからでしょう。
それに比べて修正されたレプリカには、余計な脚色を加えられてしまう結果に繋がりやすいとされています。

・コピー
第3者が作品を模写するのがコピーとされています。コピーが始まったのは、弟子が師匠の作品を模倣することでその技術や感性を習得しようとしたところからです。ですから本来の目的は、勉強のためだったのです。それが名のある画家でも他の画家の作品を学ぶために始められると、もうどれがオリジナル作品なのか見分けも付きづらくなってきたのです。

今では意図的な贋作ではないことを示すために、わかりやすく大きさやサインを変えたりなどの証拠を残すようにもされています。意図的でさえないと認められれば、コピー作品としてのそれなりの評価を市場で受けられるのです。そうでなければ極めて冷ややかな評価しか受けられないのは、知られているとおりです。作成した時代が古くなるほどに、この判断を下すのは難しくなっています。

創造も模倣から誕生するもの


例えば音楽界においても、どこかで聞いたことのあるメロディやフレーズがあると、コピーではないか著作権の侵害ではないかと騒ぎ立てられることもあります。往々にしてそれらは先人の影響を受けることによって自分の世界を創造しているものに過ぎません。
絵画にしてもモチーフはありながらも、そのヴァリエーションとしての新たな作品を仕上げたものも多いのです。
しかし作品がレプリカなのかコピーなのかヴァリエーションなのかなどの大まかな区別はできたとしても、それに値段を付けるのはなかなか一筋縄でもいかないのは誰もが感じられる通りでしょう。ヴァリエーション作品でも有名で高額になっているものには、ダリの絵画でモナリザに髭を生やしてダリの顔に仕立て上げ金貨を握っているものもあります。

・これだけはNG
以上から、いわゆる贋作として卑下される絶対条件を挙げてみましょう。
それは作成された年代が偽りであること、作者が偽りであること、創造性が見い出せないことのいずれか一つでも該当することでしょうか。
アート作品としての評価は、全く受けられないのは確かと言えるでしょう。これを否定的に捉えずここから幾ばくか抜け出していれば、それ相応の評価も得られるのはプラス材料と思っても良さそうです。