投資対象として購入してはいけない美術作品とは

アートを投資対象として考えた時に、購入してはいけない美術品が何かというと、大きく分けて1950年以前に作られたアート作品はオススメしません。なぜなら、名作といわれる作品は既に評価が定まっており、値崩れしにくいものの高額だからです。

例えば今から約30年ほど前、かつて日本がバブル経済といわれた時代には、大企業が競うように印象派の絵画を購入しました。当時は無駄遣いとも揶揄されたものの、その後にバブル経済が崩壊して企業の業績が悪化する一方で、印象派の作品はその後も値上がりを続けていきました。

おかげで日本には数多くの印象派の傑作が残り、美術館などで鑑賞することが出来るようになったのです。とはいえ投資という側面からみれば、印象派やそれ以前の作品は既に評価が定まっており、値崩れしにくいものの、高額であるため投資対象とはならないでしょう。

ではなぜ1950年代以後の作品に絞るかというと、アートマーケットの中でも1950年代以後の作品は「現代アート」にカテゴライズされており、高額な作品であっても上手に購入することで、作品が年々と値上がりを続けています。

つまり投資という側面からアートを捉えた時に、値上がりが期待されるアーティスト作品を選んで、戦略的に資産価値を上げながらコレクションできる機会に恵まれているのです。

その際に判断する指標のひとつが、アーティストがどこの所属ギャラリーなのかによって判断する方法があります。ギャラリーはアーティストの価値向上のために、日々、様々な情報を発信してマネジメントやブランディングをしています。

2019年現在、現代アートを取り扱うギャラリーのなかでも、世界をリードするギャラリーとそこに所属するアーティストを知ることで、世界のアートシーンの流れを確実に掴むことが出来ます。そのために抑えておきたいNYと日本のオススメのギャラリーを少しご紹介します。

<NYのギャラリー>
・GAGOSIAN・・・村上隆、リチャード・プリンスなどが所属
・David Zwirner・・・草間彌生、ティルマンス、クーンズなどが所属
・PACE・・・奈良美智、名和晃平、デイビッド・ホックニーなどが所属

<日本のギャラリー>
・小山登美夫・・・蜷川実花、中園孔二、杉戸洋などが所属
・ANOMALY・・・篠原有司男、小谷元彦、Chim↑Pomなどが所属
・ギャラリー小柳・・・内藤礼、杉本博司、束芋などが所属

こうした力のあるコマーシャルギャラリーでアーティストの本物の作品をぜひご覧ください。

そして、様々なアート作品のなかでも1番高額な分野が絵画であることも覚えておくと良いでしょう。
絵画と比べると彫刻作品は安い傾向にあり、写真などは歴史も浅く、全体的に低価格な傾向にあります。実際に購入する際には、どんな分野が好きなのか見定めていく必要があり、そのためにはアートの勉強も必要でしょう。

例えば集中して1人のアーティストのコレクションをする方法もありますし、様々なジャンルのアート作品を購入して、新たな文脈を見出すコレクション展を開催することも不可能ではないのです。

投資対象として考えた場合、過去の評価が定まった名作ではなく、まだ評価が定まっていない同時代を生きる若手アーティストの作品を購入することが、投資効果としてもベストといえるでしょう。
その際、ギャラリストやアートアドバイザーなどの意見を取り入れるのも判断材料となります。その段階になると、好きな作品と投資対象の作品を分けて検討できるようになり、現代アートの楽しさや奥深さに刺激を受けるはずです。

ぜひ好きなアートやアーティストを見つけて、投資対象としても魅力的な作品に出会って欲しいと願っています。