アートを積極的に取り入れている企業事例(GAFAなどの米国企業と日本企業の事例)

はじめに

 近年、アートを積極的に取り入れている企業がメディアなどで紹介されることが多くなっています。ハイテク企業、金融機関、アパレル企業、様々な企業の社内にアートが当たり前に融和しているのも特徴です。

例えばGAFAなどのテック企業と現代アートの親和性は高く、常に新しい挑戦をして歴史を創り続けていく上で必要な「革新性xイノベーティブ」という共通項を持っています。今回は実際にアートを取り入れている企業事例をご紹介していきます。

米国企業のアート事例 

 アマゾンはECサイト「アマゾンファインアート」で、様々なアート作品を購入できるサービスを展開しており、数千円から数百万円と作品価格の幅が広いのも特徴です。また2016年に建設した新社屋「DAY1」はガラス張りの球体「スフィア」の中に絶滅危惧種を含む植物でいっぱいの空間が広がっており、職場環境そのものがアート作品であることも大きな特徴です。

 アップルは「ARアート」による拡張現実を定着させようと「{AR}Tウォーク」という、現代アートを歩いて体験するツアーをスタートさせています。上空に浮かぶ言葉をアーティスト兼詩人のジョン・ギオーノが読み上げ、それをヘッドフォンで聴く行為そのものが従来には存在しないアート作品となっており、最新のテクノロジーを使ってiPhoneやiPadのスクリーンを超えた世界を創り始めています。

 GAFAなどのハイテク企業以外にも、例えば米国の金融機関大手JPモルガンの社内には当たり前のようにアート作品が飾ってあります。欧米の企業は分野を問わず空いている空間があれば「アート作品」を飾る意識があるのです。それはアートを取り入れることが特別な行為ではなく、ごく自然な形で飾ろうとする文化や土壌が定着しているからです。

外資系企業の多くがアート作品を飾る傾向が国内企業よりも顕著に高い理由は、こうした文化的背景があるからです。またアートという文脈や美意識を通じた交流によって、感度の高いビジネスパーソンの創造性にも役立っているのは間違いありません。これが多くの日本企業に持っていない意識ではないでしょうか。

日本企業のアート事例

 次に日本企業はどうでしょうか。近年、最も有名な事例がネット通販大手「ZOZOTOWN」でしょう。創業者の前澤友作氏は国内有数のアートコレクターとして知られ、バスキアの作品を123億円で購入したことで世界のアート界に知られた存在です。

その他にもZOZO社内には宮島達男のLEDアート、アンディ・ウォーホルの「キャンベルスープ缶」シリーズ、ニューヨークを拠点に活動するショーン・ランダーズの作品があるなど、まるで美術館のようなラインナップが揃っています。またネット企業大手のGMOの創業者である熊谷正寿氏もアートコレクターとして有名です。特に英国を代表する現代アーティスト、ジュリアン・オピーの作品をコレクションしており、社内には幾つもの作品を見ることが出来るといいます。その他にもマネックス証券は「ART IN THE OFFICE」というプログラムを通じて、新進気鋭のアーティストを支援すると同時に社内でも作品を展示しており、企業がパトロンとなってアートの普及に貢献する活動を続けています。

 近年の傾向として若手企業家が創業した会社にはアートを取り入れる会社が年々増えており、今後も日本企業のなかでアート作品を取り入れる事例は間違いなく増加していきます。

まとめ

 今回挙げた企業事例は一例に過ぎませんが、社内にアートがある企業は、働く人々に良いインスピレーションを与えています。特に「アート」は必ずしも生活に役立つものではないかもしれませんが、それをビジネスに置き換えると、便利なものだけを提供する会社ではなく、そこに「意味」を見出し、新たな付加価値を提供する企業としてのブランディングの役割をアートは担ってくれるのです。ぜひあなたの企業でアートを取り入れてみてはいかがでしょうか?