美術品は作家が亡くなったら価格は高騰する?下落する?

現存作家の作品で気になる点


美術品を投資目的で購入する場合、現存作家の作品を入手する機会もあるでしょう。現存作家とは、文字通り今現在も生存している作家のことを指しています。近代アートを中心に美術品投資をしている方なら、現存作家の作品を数多く所有しているという方もいるはずです。現存作家の作品を所有している方からすれば、「もし作家が亡くなった場合は価値がどうなるの?」という疑問を持つのではないでしょうか。

とくに投資目的で美術品を所有している場合、価値が「高騰するのか?」「下落するのか?」はとても大きな問題です。高騰するならそのまま所有しておくべきですが、下落するなら早めに売却しておくべきとなります。そこで今回は、現存作家の作品は、作家が亡くなった場合に価値が上がるのか、それとも下がるのかについて紹介していきます。

基本的に作家が亡くなると価値は下落傾向


存命作家の美術作品ですが、作家が亡くなると価値が下落する可能性は高いのが現実です。一見すると、作家が亡くなったことで新しい作品が誕生しなくなるため、希少性が高まって価格は高騰すると考えることでしょう。しかし、実際はその逆であり、価格は下がる傾向にあります。

作家が亡くなることで価値が下がる理由としては、露出が減少することが挙げられます。作家が存命中であれば、新作の発表や個展の開催などで宣伝することが可能です。それが人気につながり、需要が高まって価値が高くなりやすいです。しかし作家が亡くなってしまえば、新作を出すことができず露出は減っていきます。その結果、徐々に人気は下がる傾向にあり、価値も下がっていくことが多いのです。

もちろん例外もあり!


基本的には作家が亡くなると美術品の価値は下落傾向にあるわけですが、例外も存在します。亡くなったことによって、より価値が高まるケースも多々あるのです。有名なケースで言えば、オランダ出身の巨匠・ゴッホが挙げられます。

ゴッホと言えば、誰もが知っている有名画家です。しかし、生前に売れた絵は『赤い葡萄畑』のみだったと言われているのです。他にも売れた作品があったという説もあるのですが、いずれにしてもゴッホは生前それほど高い評価を受けていません。

しかし、ゴッホの死後に回顧展が開催されたり、書簡集・伝記などが出版されたりしたことで一気に知名度が高まって、作品も評価されて価値が高騰していったのです。このように、作家が亡くなっても価値が高まるケースもあります。

一般的に死後30年で評価が固まる


実は、美術品などは作家の死後30年ほど経過すると価値が定まると言われています。この理由は、30年経過することで生前の作家を知り人や当時のことを語り人が少なくなるからです。それにより、純粋に作品が評価されることになるため、価値が定まるとされているのです。

このことから、安定した美術品投資を検討しているなら、作家の死後から30年以上経過している作品を購入するのがおすすめとなっています。大きな値崩れをすることが考えにくいため、安定した美術品投資を行うことができます。

現存作家の作品は亡くなる前に売却した方が無難


美術品投資で現存作家の作品を保有している場合、作家が亡くなる前に売却するのが無難と言えるでしょう。基本的には、作家が亡くなれば価値が下がる傾向があり、高騰するのは数少ないケースとなっています。そのため、亡くなる前に売却しておくことで、リスク回避につながります。

また、リスク回避という意味では、作家の死後から30年以上経過した作品に投資するのがいいでしょう。30年ほど経過することで、評価が定まります。そのため、比較的に安定した美術品投資を行うことができるのです。