ウイスキー投資とアート投資からみる現物資産投資だからアート好きへ変わる

ウイスキー投資とアート投資からみる現物資産投資だから愛好家へ変わる

近年、高級ウイスキーが高騰しており、投資商品としての注目も高まっています。 アート投資と同様に現物資産であるウイスキーへの投資。
今回はウイスキー投資を考察することで、アート投資の可能性を探っていきます。

高騰するウイスキー市場

さてウイスキーはどのくらい高騰しているのでしょうか。例えば”シングルモルトのロールスロイス”と謳われるマッカラン。1926年に蒸留され、世界でも40本しかないこの60年物は、2018年でのオークションで約85万ポンド(約1.2億円)で落札され、その翌年の2019年には約145万ポンド(約2.02億円)と高値を更新しています。

60年で約2憶円へ上昇

また国産のウイスキーも人気が非常に高騰しています。
サントリー「山崎」「響」「白州」、ニッカウヰスキー「竹鶴」「余市」など人気銘柄も多くあります。

2018年、サザビーズ香港でのオークションにおいて、サントリー山崎50年が1本約3,250万円で落札されました。

50年で約3,250万円へ上昇

ワールド・ウイスキー・アワードで2017年から4年連続で世界最高賞を受賞している株式会社ベンチャーウイスキーの「イチローズモルト」54本セットにおいては、2019年に香港での競売で719万2000香港ドル(約9,750万円)で落札されました。
※ この商品は2005年~2014年に順次発売。販売価格は1本8,000円~13,000円であった。

平均価格567,000円(54本)が約9,750万円へ上昇
価格は約171倍上昇

次にもう少し手の届きそうな価格のもので見てみます。

サントリー山崎25年の2008年頃のヤフオクでの落札相場は5万円~7万円でありましたが、2019年には55万円~60万円ほどで取引されています。
11年で約10倍落札相場が上昇しています。

11年で約10倍落札相場が上昇

このようにウイスキーは十分に魅力的な投資商品として機能しています。

アート投資での作品の高騰

それではアート作品での価格の推移をご紹介します。

今一番有名な覆面アーティストであるバンクシー。2019年に開催されたサザビーズオークションにおいて落札された「Devolved Parliament」は、バンクシー史上最高額である約13億円で落札されました。

この作品は2009年製作で、オークションでの予想落札額は150万~200万ポンド(約2億円~2億7000万円)と予想されていました。

予想落札額の5倍以上で落札

また、2001年にバンクシーの個展で最初に売られた「Keep It Real」は、当初2万円で販売されました。それが、2019年サザビーズ香港でのオークションでは約4,500万円で落札されました。
実に20年で2,000倍以上の値上がりです。

20年で価格が2,000倍へ上昇

バンクシーの初期作品と同様に、若手アーティストの作品が高騰する事が、アート投資の醍醐味でもあります。

筆を使わず、ハンドペインティングで段ボールに作品を描くロッカクアヤコは、国内での活動を経て海外へ進出。欧米での評価も高まり作品は高騰しました。

キャンバスにアクリルでペイントされた大型作品での、オークションの平均落札価格の推移を見ていくと、2013年の平均落札価格は約94万円であったのが、5年後の2018年の平均落札価格は740万円へ上昇。約7.8倍上昇しています。

またロッカクアヤコのオークションでの落札価格は1,000万円を超える作品も多くあります。

オークションの平均落札価格が5年で約7.8倍へ上昇

アート投資からアート愛好家へ

現物資産であるアートとウイスキー。価格の上昇度を考えると、作品鑑賞や飲料だけに留まらず、どちらも魅力ある投資商品としても映ります。

けれどもアート投資と言うとどこか不快に感じる方もいます。

しかし株式投資の場合、購入した銘柄(会社)は必然的に応援してしまうものです。それが価格が上昇をする事を期待する事で応援していたとしても、購入を切っ掛けによりその銘柄(会社)を知るようにもなるでしょう。

これはアートであっても同様です。

たとえアート投資としてアート作品を購入したとしても、購入後はその作品を鑑賞し、作家を応援し、そしてよりそのアーティストの事を知ろうと思います。

作品購入の目的がアート好き(アートコレクター)であれ、アート投資(投資家)であれ、結果的にそのアート作品のファンになってもらえれば良いのではないでしょうか。

そして購入者の多様性を受容することで、よりアート界が開かれ、結果的にアートを購入する人が増えていくのではないでしょうか。