コロナ相場での新規株式口座開設者急増とアート投資の役割

コロナ相場での新規株式口座開設者急増とアート投資の役割

アート投資を行う上でも常に留意しておきたいのが株式市場。アート投資とは言え、市場の動向は美術品にも影響してくる場合もあります。

今回は新型コロナウイルスによって混乱している株式市場から、アート投資の役割を見ていきたいと思います。

新型コロナウイルスでの株式市場の混乱

1月に中国の武漢で発生した新型コロナウイルスは、日本にも次第に影響を与えました。そしてその影響がピークを迎えたのは4月7日、日本政府が緊急事態宣言を発動し、企業は経済活動の制限をされます。当然株価にも大きく反応がありました。

実際に日経平均株価に変化が起こってきたのは2月下旬頃です。2020年1月17日の日経平均株価の終値は24,041円でした。それがわずか2か月後の3月19日には16,552円と2016年11月9日以来の安値水準となります。

3月に入ると下げ圧はより高まり、連日1,000円近くの下げ幅を記録します。
経済の影響は全世界で起こり、NYダウも3月には暴落が強まり、取引を一時中断するサーキットブレーカーが発動するなど市場は混乱状態となりました。

新規FX取引実績口座の増加

この混乱状況により株価のボラティリティは高まり、一攫千金を目指して株式やFXの新規取引口座の開設数が急増しました。
またこの期間、外出自粛や多くの企業でテレワークが実施されたりと家にいる時間が増えた事も新規取引口座開設数の増加に一役を買っているでしょう。

上記はFXの取引実績口座数のグラフですが、株価の変動が大きくなった2019年12月から2020年3月に急増しています。

またグラフの赤線は価値が減少した口座の割合ですが、こちらも2019年12月から2020年3月の同期間で資産を減らした人が増加したことが分かります。

株価の暴落からV字回復へ

日経平均株価やNYダウの暴落の原因は新型コロナウイルス感染拡大の影響も勿論ありますが、それ以外でも様々な要因があります。

・グローバルサプライチェーンの崩壊
・経済活動のストップによる原油価格の下落
・OPEC(石油輸出国機構)とロシアと非加盟主要産油国による減産の決裂による原油価格の下落

しかしこの暴落も3月19日の日経平均株価の終値16,552円を底として、現在株価は上昇し、6月5日では22,863円まで回復しています。その主な理由は金融緩和などが原動力となっています。

・金融緩和や財政支出などの経済政策
・OPEC(石油輸出国機構)とロシアと非加盟主要産油国が減産に協調姿勢をみせる→原油価格の回復
・緊急事態宣言の解除や移動制限の緩和、新型コロナウイルスの感染者の減少による経済活動の再開
・米バイオテクノロジー企業のギリアドやモデルナなどによる新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験の開始

この先どのように株価が変動するかは分かりませんが、6月5日まででも様々な要因により株価が変動しました。

アート投資の役割

先ほどのグラフから、新型コロナウイルスによって投資を始める方が増加した事が見て取れました。その一方、資産を増やすことが難しい事も現実の数値として表れています。

通常の相場でさえ安定的に資産を増やすことは難しいですが、この様な異常な相場ではより難しくなります。それは投資と言うよりも投機的な運用にどうしてもなってしまいます。

一方美術品はディフェンシブ資産とも言われます。すなわち、景気の変動を受けにくい資産です。

株式投資ではここ最近でも、10数年間隔で大きな変動がありました。勿論上手くその波に乗れば大きな利益を享受することができるでしょう。しかし今回のデータからもわかるように、利益を増やすことは容易でないことも分かります。

このような混乱した相場では、価格変動が大きく、投機的な運用になってしまう株やFXだけに注目するのではなく、景気変動の影響の少ないアートへの投資や、ポートフォリオにアートを組み込むという戦略で、安定した資産運用を実践してみてることも投資で失敗しない事なのかもしれません。