桑原弘明、齋藤智史、神農厳、鈴木千晶、高柳むつみ、田崎太郎-完売立体・工芸作家紹介

桑原弘明

作家独自の世界観を「スコープアート」という形で提示しています。これは覗くという行為によって、異世界への扉を開けることになるのです。実際に体験してみないと分からない、絶世の美しさと現実には起こりえない不可思議さが混じり合い、世界を映し出している、それが桑原作品の魔法の秘密なのです。優れた名画と同じく「時間」が作品のなかに閉じ込められており、タイムレスな魅力へと繋がっているのです。

プロフィール

1957年茨城県に生まれ。1982年多摩美術大学油画科卒業。
取り扱い画廊: ギャラリー椿、スパンアートギャラリー  
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齋藤智史

「記憶の予感」という言葉を作品から想起させられます。楠(くすのき)という素材で作家のイメージを人形として成形し、そこに日本画の顔料を重ねています。じっくり眺めていると、どこか懐かしくもありながら、新しい感覚や感情と出会える装置のような役割があると思います。それは大人になった「鑑賞者」が子ども時代を懐かしく思うと同時に、当時は気付かなかった感情を発見することでもあるのです。この感覚は日本の文化圏特有のアニミズム思考かもしれませんが、東アジアに共通する土着文化でもあり、海を越えた活躍が期待されるアーティストです。

プロフィール

1982年長野県生まれ。2006年東京造形大学造形学部彫刻専攻卒業。
取り扱い画廊: S+arts 
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神農厳

近年は江戸文化を主体に陶器の作品作りをしてきました。特徴的な擬人化された動物はコミカルで可愛らしく、それは八百万神を信じる日本の自然観がルーツにあってこそ生まれた作品であり、私たちも共感してしまう感覚ではないでしょうか。また、昔をただ懐かしむのではなく、必ず現代のエッセンスを作品に盛り込んでいるからこそ、同時代性を感じる現代のアーティストであり続けているのです。

プロフィール

1957年京都府生まれ。1980年近畿大学卒業。1981年京都市立工業試験場窯業本科修了。1982年京都府立陶工職業訓練校卒業。1983年京都市立工業試験場窯業専攻科修了。
取り扱い画廊:高島屋
作品購入の目安:要問合せ

鈴木千晶

人形を作る素材として「羊毛フェルト」を選択し、それを「フェルティングニードル」という専用の針を使って紡がれることで、独特な作品が生み出されています。土や木工とは異なる質感だからなのか、今から人形劇が行われるような、舞台性があるのも特徴ではないでしょうか。それは軽やかな素材であるにも関わらず、重力を感じられる作家の技術によって支えられています。擬人化されたユーモラスで哲学的な世界は、世代を超えて多くの共感を呼んでいるのです。

プロフィール

1973年生まれ。現在、熱海在住。
取り扱い画廊: 靖山画廊 
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高柳むつみ

工芸と美術の世界、もしくはその間の世界を作れる、美術的要素に富んだ磁器作家です。用途がある盃には陶芸の世界ではあまり見ることがない独特の高台の形が面白く、さらに上絵は繊細で緻密、大胆でユーモラスな感覚を表現出来るアーティストとしての側面を堪能することができます。それは用途を越えたオブジェクト作品でも同じことが言えます。作家の作品は間口が広く、工芸からアートを知る面白さとアートから工芸を知る面白さという、双方向の作用があるのが特徴ではないでしょうか。

プロフィール

1985年富山県生まれ。2008年京都市立芸術大学卒業。2010年京都市立芸術大学 大学院修了。
取り扱い画廊: ギャラリー器館  
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田崎太郎

陶芸家という括りではなく土を使う現代美術家というのが正確でしょう。一貫して狛犬をモチーフに作品作りを続ける作家は、近年、メタリックな釉薬を開発するなど、新たな領域へと挑み続けています。コンテンポラリーな文脈で走り続けているアーティストであり、日本的カルチャーが持つ「Kawaii」作用とラグジュアリーな要素が加わったことで、より多くのアートファンに注目されそうです。作家と共に狛犬がどのように変化していくのか、今後の展開や広がりが楽しみです。

プロフィール

1970年福岡県生まれ。1998年茨城県笠間にて修行。
取り扱い画廊: KOMIYAMA TOKYO(小宮山書店)
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