市場規模7兆円越え!成長を続けるアート市場

2019年現在、世界のアート市場は米国、イギリス、中国、によってリードされており、3カ国で総売上高は約84%のシェアを握っていると言われています。
これは何も不思議なことではなく、現代アートを引っ張る「ガゴシアンギャラリー」のようなメガギャラリーが互いに競うように、この3カ国に新たな拠点を作っていることを考えれば納得がいくでしょう。

特に米国は世界で1番大きなアート市場を形成しています。
世界全体の44%ものシェアを握り、現在もその成長が続いてるのです。
米国に続くイギリスは市場全体の21%のシェアを握り、中国を抜いて再び2位の座に返り咲きました。続いて中国は2%減少して全体の19%のシェアを握っています。

そして日本はというと、世界のアート市場のわずか0.5%にも満たないのが現状です。日本人アーティストの立場から見ていくと、作家として売り出していくには国内だけでは頭打ちなため、初めからグローバル市場を相手にしていくことが求められています。

日本の現代アート市場が小さいからといって、日本人がアート嫌いなのかというと、決してそんなことはなく、美術館来場者数は世界有数と言われています。
アートを鑑賞する文化は育っており、今後はいかにアートを購入する文化へと繋げていけるのかも課題のひとつでしょう。
ポジティブに捉えるならば、GDP世界第3位の日本の経済力を持ってすれば、国内のアートマーケットが拡大するチャンスの宝庫なのです。

アートを購入する場合、どこで購入すればいいのでしょうか?
ここでオススメなののが、様々なアーティストの新作を一堂に鑑賞できるアートフェアです。

「The Art Basel and UBS Global Art Market Report 2019」によると、アートフェアの世界全体の総売上高は前年比7%増の約359億ドルと増加していることが分かります。
これは世界経済の成長とともに、富裕層が世界各国で増えていることの何よりの証でしょう。アートフェアの市場が大きくなった分、アートギャラリーの総売上高に占めるアートフェアの割合も、2010年が30%だったのに対して2018年は46%へと増加しています。

またオークションでの現代アートや装飾品などのデコラティブアート、陶磁器や骨董品の売上高も291億ドルとなり、これも前年比3%増加しています。
特にアメリカはオークション市場の成長が著しく、前年比18%増の118億ドル、イギリスは前年比15%増の53億ドル、反対に中国はここでも9%減少して85億ドルとなっています。
中国の失速も経済とリンクしており、これは一時的な現象であるとの見方が強く、今後も中国がアジアのアートシーンをリードしていくことになるでしょう。

近年、オンライン市場での美術品の購入は前年比11%増と成長著しい分野です。ネットで物を購入するのが当たり前となった社会では、「アート」をネットで購入することの抵抗感よりも、便利でどこでもアートが購入できることについて、ポジティブに受け入れられてることの何よりの証でしょう。

また、アジアにはミレニアム世代のコレクターが多いのも特徴です。
香港のコレクターの39%、シンガポールのコレクターの46%がこのミレニアム世代なのです。日本でも特に若い世代がコレクターとして育つ土壌が育つような文化を作ることが求められています。

あとは「アートを購入する」というアプローチへいかに繋げるのかが鍵となるでしょう。作品の面白さ、購入する喜び、投資としての魅力的な側面、アートと経済の関係性をさまざまな手段で伝え、学ぶ場を作ることがアート市場の発展にも大切なことなのです。