アートファンドを利用することで美術品投資がやりやすくなる?

美術品投資にも専門会社が登場


美術品への投資は、個人ではにわかに始め難いものではあり、専門家の手助けが欲しくもなるところです。そこで不動産への投資を取り扱っている投資会社があるのと同じように、美術品を投資対象とした会社もあるのです。

一般にアートファンドと呼ばれるこの投資会社は、2000年代に入ってから登場したまだ歴史も浅いものです。よってサービス内容も会社によってばらつきもあるようですし、海外の会社と比べても違いも目立つようです。
これからの業界ですが、先取りして利用するのが大きな利益となることに繋がることもよくある話でしょう。

アートファンドのメリット


サービスは会社にもよりますが、総じて以下のようなメリットが挙げられているようです。

<保管する必要が無くなる>
美術品投資で最も悩ましい問題である現物保管によるスペースの確保やメンテナンスの負担から免れることができます。その代わり、室内に展示して楽しむことはできなくなりますので、純粋に投資目的の人が集まる会社となるのです。

<共同購入できる>
投資対象となる美術品は高額であることが多いものです。そこで共同購入により少額の出費で購入に参加するシステムがあることもあります。
まだ日本では需要も少なく取り扱っている会社も少ないかもしれませんが、欧米では普通にあるシステムのようです。

<プロのアドバイスがある>
美術品投資で最も厄介に感じるのが、美術品の資産価値そのものでしょう。どうしてこの絵画がこんな値段なのか、専門家でもなければ理解し難いのが普通の人です。
そこは美術品投資専門のコンサルタントがいますので、美術品毎の現在の相場と将来の値上がり具合もある程度、予想してくれます。換金しやすさやその方法などもアドバイスしてもらえるのは、現実にあるリスクマネジメントとしても有効な手段になると思えます。

また、個人的に手に入れたい美術品についての参考意見も提供してくれます。確かな市場調査による助言となりますので、ほぼ確実になんでも鑑定団で見かけるような素人の失敗にはならないことでしょう。
いくら長期的には値上がりするとしても、タイミング次第では高値で購入したり安値で売却したりするのが美術品の難しいところなのです。蓄積された現実の取引事例データを根拠にしていますので、無駄な売買をすることも避けられるのです。

<リスクを分散させられる>
株投資で一つの銘柄に資金を集めずに特徴の違う銘柄に分散投資するのが安全と言われるのと同じ考えで投資ができます。
株式ファンドの美術版と言ったところでしょうか、いくつかの作品を購入することで、失敗のリスクを抑えられるのです。ジャンルや作者、作風の違う美術品に分散投資すれば、長い目で見ても安心感が生まれることでしょう。

税制改正を利用してくれるファンドもある


美術品を所有するにも税金が関与していることはあまり知られてはいないでしょう。
2015年の法人税制の改正により古美術品を除く美術品の減価償却資産判定額が、100万円未満にまで引き上げられました。それまでは20万円未満でしたので、大幅な緩和と言えます。
これにより会社の経費で高額な展示用美術品を購入しやすくなり、節税となりうる美術品の購入範囲が広がったことになります。美術品はより高額であるほど、換金性も高くなり投資対象としての価値も高くなるのです。

また、法人ばかりでなく個人でも事業所得などがあれば改正の対象に該当するものです。実際の税制はもっと複雑な面もありますが、高度に対応した税理士のような役割も果たしてくれます。専門の会計事務所と提携していたりと、節税面も含めて投資対象を厳選してくれることが期待されるのです。