美術品はこうして保管して、少しでも高値で売却したいもの

保存状態の影響は大きい


美術品でも特に絵画や掛け軸のようなものは、温度、湿度の管理が悪ければカビが発生したり、紫外線で焼けてしまったりもしやすいものです。
倉庫に保管するにしても、自宅は美術館の保管庫のように空調設備があることも少ないでしょうから完璧な保存ができるものでもありません。書斎や床の間などに飾ってしっかり鑑賞したいものだってあるでしょう。そうなれば室内環境の変化の影響もより大きく受けざるを得ません。
室内は適度な乾燥状態を維持するべきですし、ましてや日差しを浴びるようなことはあってはなりません。それが陶器であっても、湿度に弱く水分を吸収しやすいこともあまり知られてないのではないでしょうか。

補修は自分でしない


不用品をリサイクルショップに持ち込みをする前に、なるべく高く買い取ってもらおうと品物を綺麗にしておくことを習慣にしている人もいるでしょう。それは美術品においても基本的には間違いではありませんが、注意を要するものでもあります。

特に陶器のひび割れなどが気になって目立たなくしようとしたり、表面のざらつきをすべすべにしようと磨いたりしてはいけません。つまらないことをして価値が下がったりすることもありますので、どうしても気になれば専門家に相談するしかないのです。
それも古ければ古いものほど素人考えで磨くと、取り返しの効かない傷になりやすいのです。
せっかく良い保存状態だったのが、逆に悪化してしまうことにもなりかねないのです。

<自分でするのは手入れだけ>
一般人ができることは現状を維持させることだけです。それは額の隅に溜まったホコリを取ることくらいなものでしかありません。
ソフトな筆や布、綿棒などで拭き取るか、OA機器用のエアスプレーを軽く当てるなどを定期的にしておけば十分でしょう。

問題は温度、湿度の変化


<気候変動は美術品にもダメージ>
紫外線対策はしやすいものではあります。とにかく日の当たらない場所に置いておけば、年中そのままで済みます。しかし気候変動に伴いますます厄介になっているのが、温度、湿度の急な変化でしょう。
夏の高温化だけでなく、春でも秋でも日によって寒くなったり暑くなったりと快適な暮らしもしづらくなりつつありますが、美術品にとっても同じ状態なのです。湿気もまた突然の大雨、長雨で一気に上がりやすくなっていますし、その反動でカラカラ天気が続いたりもあったりです。

<風通しをルーティンにする>
日本の家屋も密閉性が高まったことで、風通しは悪くなっています。意識的に窓を開けては換気をする必要も高くなっているのですが、美術品の保管場所も換気に心掛けるべきとなります。大切に保管したいため密閉性の高いケースに入れることにもなりがちですが、湿気対策としてはあまり好ましくはありませんので風通しを忘れないようにしたいものです。

また保護紙でくるんでしまえば、余分な水分を吸い取ってもくれるでしょう。
人がいても快適なくらいの温度、湿度を年中維持させることを目標にするようにしましょう。数字で言えば大体15~20℃、湿度は50%くらいが目安になります
つまり日光を当てないこと以外は、我が子のように可愛がるような神経を持つことが理想的なのでしょう。

<汚れも早期に発見する>
時々、様子を見てはなでなでホコリ取りをしながら表面をチェックして異状の有無を確認するような繊細さも持ちたいものです。
汚れが見つかっても、それが浅くて小さいうちならまだ自分でもどうにかなるのです。
特にカビなどは早めに対処しないと全体に一気に広がってしまいます。
症状があっても何も言ってくれないのが美術品ですので、早期発見が何よりも大切になるのです。