サザビーズとクリスティーズ 〜歴史あるオークションの世界〜

アートオークション(セカンダリーマーケット)の世界は、サザビーズクリスティーズという2大オークション会社によって牽引されています。それぞれ歴史が深く、サザビーズは1744年に誕生し、クリスティーズは1766年に誕生しました。どちらも発祥はロンドンです。両社のアートや文化貢献は計り知れません。なぜなら約3世紀に渡って戦争などの激動の時代を乗り越え、貴重な美術品を守り抜き、絶えることなく市場へと送り出してきたからです。

現在はアートオークションとしての性格が強い両社ですが、もともとの主要な取り扱い商品は異なっています。サザビーズは主に書籍類を扱っていました。一方のクリスティーズは18世紀の頃から英国の最も大きな伯爵家などのコレクションを売買しており、第二次世界大戦頃まではアートオークションといえばクリスティーズの時代が続いていたのです。

ところが戦後、サザビーズの長にピーター・ウィルソンが就任して以降、サザビーズは現代アートを積極的に取り扱うようになりました。それが契機となり、現在のような現代アートのセカンダリーマーケットの礎を築いたとも言われています。一方のクリスティーズはいつまでも旧体制が変わらずにいましたが、1998年にフランス人オーナーによって買収されると、現代アートの取り扱いも積極的に推し進めていき、今日のような世界のアートオークションをリードし続ける存在として君臨しています。

21世紀に入った現在、両社以外のオークション会社で働くオークショニアにとっても、仕事を通じて、アーティストの新たな価値を生み出しているような誇りが持てるようになったのも、両社の恩恵といえるでしょう。
例えば若手アーティストの作品も積極的にオークションで取り扱い、マーケットで高値が付いた場合、アーティストの付加価値が上がる現象が多く見られるからです。

また過去の時代のアート運動を丸ごと取り上げて評価する動きも加速しています。
例えば「印象派」や「シュールレアリスム」などをまとめてオークションのカタログとして1冊にまとめることができるのも、絶大な販売力を持っているからこそ実現できることなのです。

わずか半世紀の間にオークションの役割も刻々と変化を続けてますが、今後も変わらないのは両社が持っている専門的な知識の集積でしょう。
アート作品の価値は美術史の流行や世界経済などが起因して常に変化を続けています。お金とアートが絶えず交差していくオークションの世界は、今後も両社によって保障され、付加価値が付いていくのは間違いありません。アート市場の全盛期は、地球全体で見ていくとまだまだ遠い未来であることは間違いないのです。
ぜひアートに投資する際の選択肢として、オークション市場を把握しておきましょう。