とりあえずのリスクは踏まえておきたい美術品投資

転ばぬ先の杖を確保するために


あらゆる投資には投資の種類に応じたリスクが付きまとうものです。美術品投資に関心を持つのであれば、まずはリスクにどのようなものが挙げられるのかを押さえておくべきです。
とりあえず損失を防ぐところから投資は始められるのですから。

具体的には信用リスク、高値買い安値売りリスク、経済環境リスクの3つのリスクを覚えておきましょう。美術品投資ならではの敵を分析してこそ、初めて攻略作戦も立てられるものです。ここではどのような敵が潜んでいるのかに留めておきます。魅力こそある美術品投資ですが、魅力に釣られた迂闊な投資だけはとりあえず避けられるのではないでしょうか。

信用リスク


<換金できないこともある>
美術品は購入してみたものの、換金つまり売却できないことがあるのです。
例えばオークション市場での取引実績が無い作者の作品であったりすると売却が困難だとされています。そこそこ知られた作者の作品でもそういうことはあったりしますので、勝手に売れるものと思い込んでいたら勘違いにしかならないのです。
これではいくら市場価値が下がりにくい美術品とは言え、資産価値としての意義には問題があるでしょう。飾って満足するだけでは物足りない価値になってしまうことがあるのです。

<知らないうちに人気が下がっている>
美術界では、一定の人気があった作者の評価が低下することがあります。
今現在、高評価を得ている作者の作品だとしても、例えば亡くなったと同時に過去の人として扱われることも考えられなくもありません。一般人にとってこれは理解し難いことであります。既に市場での価値が下がっているにも関わらず、いつまでも人気作品であると思い込んでいたために高値買いの失敗をしてしまうのです。

値上がりを期待して買ったのに売却タイミングを躊躇していたばかりに、たちまち価格が低下してしまうこともあります。これがひどい場合は、換金もできなくなることも視野に入れておくべきでしょう。作者の知名度が常に安心材料とは限りませんので、購入前に市場価値の動向をチェックすることを忘れないようにすることでしょう。

高値買い安値売りリスク


<指標が無い>
投資も株やFXなどであれば、チャートもあれば投資の指標となる数字も豊富に揃えられています。ところが美術品投資には、そのようなものは全く何もありません。それでも適正な時価を知ることができれば見当も付きそうですが、それも把握しづらいのです。そこで専門家として画商などを頼りにしたいところですが、彼らも商売ですので客に適正な時価を伝えるかどうかも怪しいものです。

同様に売却する際にも同じことが起こります。購入も販売のタイミングも投資として適正であっても、せっかく得られたはずの利益が時価より低い価格で販売してしまえば意味もありません。また、仮に利益が出たとしても後で実はもっと大きな利益が得られたことがわかれば、きっと悔しさしか残らないことでしょう。

経済環境リスク


これは全ての投資に関わることではあります。美術界には何の変哲も無くても、諸外国の政治、経済などの政策や大企業の倒産などによって美術品を取り巻く経済環境もダメージを受けることは多々あるものです。

最近では2008年のリーマンショックに見られたことです。この約1年後にその多大な影響が美術界をも襲ったのです。ただ株などと違って良いことに直ちに影響を被ることも少なそうですので、経済環境の変化に関するニュースがあったら様子に注意をしておくことでしょう。株などが急落すれば逆に投資の矛先を向けられて一時的に人気も出たりすることもありそうです。ビッグなバッドニュースにも関わらず安定した投資先だと思って安心していたら、忘れた頃に痛い目に遭うのです。