客を儲けさせようとすることで儲かるギャラリー

ギャラリーについて


絵画を購入しようと思えば、目ぼしいギャラリーに出かけていたものです。それが今ではネットでも絵画を購入できるようにはなっています。おかげで居ながらにして多数の作品を比較検討できますので、これは市場の活性化にも役立っていることでしょう。

でもちょっとまとまった価格の絵画になれば、やはり現物でその価値を確認してみたいものです。そのためにはどうしてもギャラリーに出かけたいものです。

ギャラリーは画廊とも呼ばれていて、絵画を展示、販売しているところであるのはご承知でしょうが、その運営形態などまで知る人は少ないのではないでしょうか。どんな仕組みで経営を成り立たせているのかなど、わかっておけば上手な利用にも繋がるかと思われます。

ギャラリーの種類


<企画画廊>
画家と契約して企画に沿った絵画を作成して展示、販売をするようなものです。画家としては、自分を売れる画家にプロデュースしてくれると言うメリットがあるのです。
個展を開いてくれたりもしますが、販売できた額の概ね5割以上は画廊の収入となります。作品のプライマリー価格がここで決められますが、それぞれのギャラリーの場所や人件費など置かれた状況も関わってくるのです。

<貸画廊>
貸画廊は日本独特のものとされていて、言わば画家自身がギャラリーの仕事も任されることになります。レンタル料は負担になりますが、ギャラリーの制約も無く自由に作品を発表できるところが、画家にとってはメリットになります。
販売実績が上がらずとも、直ちに契約打ち切りになることもありません。良い意味で自己中心的な販売の場を得られることになるのです。

その代わり芸術家としてだけではなく、広告など営業能力も試されることにはなります。
展示レイアウトはもちろん、作品のプライマリー価格の設定も自分で決めることになります。ここでも販売できた額の一部は画廊の収入となりますが、貸しているだけですのでその割合は低く概ね1割程度が目安ではないでしょうか。つまり画家にやる気と能力があれば、収入も増やせることになる訳です。

ギャラリーを運営する側の目線


ギャラリーを運営するのも仕事ですから儲けなければいけません。その収入源は言わずと知れた展示物の販売にあります。そこでとにかく少しでも安く仕入れた展示物を少しでも高く客に売りつけようとすることでしょう。この流れであればギャラリーは儲かりますが、客は高い買い物をさせられることになります。そこにはその場限りのギャラリーと客との関係しかうかがえません。
これが果たして長期的にはギャラリーのためにならないことにギャラリーも気付き始めているようです。つまり展示物を買った客に儲けさせようとすることです。

ギャラリーで客が安く買えて将来、高く売れるようにすることで、儲かった客は買ったギャラリーのリピーターとなってくれることを目論んでもいるのです。この先いくら美術品ブームが訪れたとしても、美術品市場を囲む顧客の数は絶対的に少ないものです。
新たな美術ファンが増えたとしても、一過性の客で終わってしまえば意味が無いのです。ですから、いかにしてリピーターを増やすのかが商売の浮沈を握っている世界のようなのです。

客にしてみればいくらギャラリーが介在してくれたとはいえ、まるで自身の目利き能力があったかのように都合良く感じるものなのです。まさに「濡れ手に粟」とも言ってしまえるくらいの自分の潜在能力が、開眼したかのような錯覚さえ覚えることでしょう。お得意先のギャラリーには、お金のネタも転がっているからと、足繁く通ってくれる客の確保こそがギャラリーの目指すところになっているのかもしれません。