バンクシーくらい語れてから始めた方が良さそうな現代美術への投資

バンクシーを事件でしか知らないのでは


現代美術に疎い人でもバンクシーの名はかなり知れ渡っています。
バンクシーはオークションで1.5億円の落札額が付いた作品をシュレッダーにかけた事件で、知名度が世の隅々にまで行き渡ったようにさえ感じられます。
作品の価値は作者の知名度に依存することが大きいことから、これは自分の作品の価値を高めた結果になったようにも感じられます。

バンクシーの作品についてはそれだけでなく、東京・日の出の膨張扉や九十九里の防波堤に描かれた壁画などで話題になっています。
今のところ、東京の作品は本物らしくて九十九里の作品はコピーを貼り付けたようなものでさすがに不自然過ぎるとの評価が主流のようです。
これが果たして正しいのか、未だに決着はついていないようです。

バンクシー作品の高騰の歴史


バンクシーはどのギャラリーにも属さずマネージャーだけを支えにして活動してきた謎多きアーティストという地位を固めています。
ここでそのバンクシーの作品の歴史を振り返ってみましょう。

2001年にバンクシーの個展が開かれていますが、当時約2万円で売られていたものがありました。この絵画は2009年に約400万円で落札されています。
そして同じ作品が2019年には4,000万円以上で落札されているのです。
20年も経たないうちに実に2,000倍以上の値上がりをしているのです。
今なお、バンクシーに関わるニュースが注目を浴びるほどに作品の価格は上昇を続けることが想像できます。

それではバンクシー自身が価格の高騰化を狙って売名活動をしているのか、とも疑ってみるのも自然なことでしょう。
ともすれば公共物への落書きですので、犯罪に問われる可能性だって捨てきれません。
ですが、これは芸術家としての欲求が起こした結果論に過ぎないと思うべきでしょう。
それが推し量られるのが、彼の芸術家としての活動です。

2004年にグリーンピースのキャンペーンポスターを作成して以来、大手企業からの仕事は受けていません。
最近では2017年にヨルダン川沿いにあるイスラエルとパレスチナを分断している壁の目の前にオープンされた「世界一眺めの悪いホテル」に主張が見られます。
そこではパレスチナ人が雇用され、売店では地元民のアーティストの作品を販売していたりと、中東からの難民問題についてなどに関心を寄せていることがわかります。

バンクシーと日本の関わり


すっかり世界に名を轟かせているバンクシーですが、そのきっかけとなったのは日本での活動からとされています。
2002年、バンクシーがまだ注目に値しなかった頃、日本のアパレルメーカーがTシャツのデザインをバンクシーに依頼しています。この時、個展を開いたりもしていましたが、作品を買おうと思えば数万円も払えば手に入れることができたのです。
おそらく東京・日の出の防潮扉の壁画もこの時の作品なのでしょう。

残念なことにはストリート作品であるがために、本物と認めることは有り得ないとされています。それでも見学に訪れる人も多く、高額での購入希望者もいるのはバンクシーも予想しなかったことでしょう。
原宿のショップには当時、バンクシーが描いた段ボールの作品が展示されていますので見学に行かれてみるのもおすすめです。

バンクシーだけではない現代アート界


バンクシーのような現代アートの高騰例は、彼ならではの特徴的な活動に起因するものだけではありません。日本人に限っても、例えば草間彌生や奈良美智などの作品は2000年代に入ってから数100倍のレベルで高騰しているのです。
ただこのような既に有名になった作品は、もう気安く買えるレベルでもありませんし、これ以上の高騰もしづらいところです。
それよりも将来性を感じさせる芸術家に投資するのが現実的です。未来のバンクシーを探すのは夢では無いのです。