コラージュ、フロッタージュ、デカルコマニー、スクラッチ-美術技法レポート

技法レポート


コラージュ

 コラージュはフランス語で「糊付け」を意味する言葉で、アートの分野でコラージュ技法が生まれたのはキュビスムが生まれた20世紀初頭のことです。当時の芸術の中心地パリには世界中から様々な芸術家が集まっていました。ムーランルージュを中心に劇場も花開き、様々な分野がジャンルを超えて混じり合うようになったのは自然の流れでしょう。絵画の分野における最初のコラージュ作品はピカソとブラックが共同生活をしてキュビスムを模索していた時期により作られた「パピエ・コレ」であると言われています。新聞紙などの紙片をつなぎ合わせたり、広告の包装紙やフィルム、ピンやボタンで留めたりする作品もありました。またコラージュも立体作品になると「アッサンブラージュ」と呼ばれています。今日、コラージュは実に多様なジャンルで使われており、平面から立体作品、ファッションの分野でも親しまれています。日本のちぎり絵や貼り絵などもコラージュの一種です。中にはロマンコラージュといったコラージュ小説も誕生しています。コラージュは実に多様で統一性があるものもあれば、意図的に醜悪さを作る為に枠からはみ出した作品もあります。たった100年前に生まれた技法でありますが、コラージュは私たちの生活に当たり前のように存在しているのです。

フロッタージュ

フランス語でこするを意味する「frotter」に由来があり、フランスがシュルレアリスム全盛の時代に誕生しました。人間が持っている描くという欲求に即した技法であり、画材による制限はありません。木や炭、コイン、ありとあらゆるものが素材です。選んだ素材がどのような色をしているのか、色と色が重なりあうとどのような変化があるのか。そういった遊び心がある技法です。始まりは1925年ドイツ人のマックス・エルンストが最初に始めたとされており、翌年には「博物誌」というフロッタージュ作品のみの作品集も刊行されています。絵を描くことに苦手意識があっても純粋に色彩を楽しむことができる手法として、教育の分野でも応用されています。描く行為そのものを体験することで、様々な示唆を発見するはずです。

スクラッチ

 スクラッチは「引っかき絵」と呼ばれる手法です。やり方はとてもシンプルな手順です。例えば白い紙を1枚用意して、そこにクレヨンで様々な色を塗ります。とにかく自由に塗っていきます。その上から被せるように黒や濃い色をキャンパス全体に塗りつぶします。ここまで準備すれば、あとは先の尖ったものでスクラッチすればいいだけです。動物や魚の形でもいいし、人や風景を描いても構いません。心の赴くまま抽象的な作品を描いても大丈夫です。そして出来上がった作品は濃い色と下地の色のコントラストによって、偶然性に任せた思わぬ表情を見せてくれるはずです。この技法はシュルレアリスムを代表する芸術家マックス・エルンストによって広く知られるようになりました。描く、もしく色彩で汚すという行為は、本来人間が持っている本能的欲求であることを改めて認識すると同時に、純粋に絵を楽しむツールとしても機能しています。なぜならクレヨンやカラーインクなど、他の素材を使った実験的想像を楽しむことが出来るからです。このスクラッチ技法を使った画家の若林朋美さんの作品を見ると、いかにスクラッチが多様な選択肢を持つ面白い技法であるのかを教えてくれます。大胆なフォルムと緻密な作業、そのどちらの作用も共存できる存在がスクラッチの醍醐味なのです。

デカルコマニー

デカルコマニーは20世紀初頭のシュルレアリスム全盛のフランスで生まれた技法です。フランス語で「転写」を意味する言葉で、例えば紙の上に絵の具を垂らし、その上から紙を重ねて離すと、思いもよらない模様が立ち現れます。こうした偶然性に任せる手法は、近年、幼児教育などの分野でも採用されています。なぜなら予想できない模様が生まれる面白さはシンプルでありながらひとつとして同じにはなりません。それが子どもの想像力を働かせることへと繋がると言われています。上手く描くとは別に、指先が上手に動かせなくても純粋に絵を楽しむという行為をデカルコマニーを通じて実現できるのです。

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